A midnight daydream / 下
いっそ、来なければ良かったのに。こんな姿を見られるのなら・・いや、見られることが避けられなかったのなら、せめて、山崎が来る前に、失神でもしてしまえば良かった。
「副長ッ!?・・・オマエ、何やってんのっ・・・!」
我に返って逆上したらしい山崎が、沖田に掴みかかろうとする。
「バカッ、いいから戻れ・・構うなッ!」
山崎が沖田に腕力でかなうはずもない。そんなことぐらい、本人だって分かっていただろうに。
だが、沖田はわざと避けずに、胸倉を掴ませた。
「あー・・掴みやしたね。これで暴行罪成立だから。というか、先に手を出したのはそっちだから、以降、俺からの攻撃は全て、正当防衛ってことで、ヨロシク」
「へっ・・!?」
土方からは沖田の顔は見えなかったが、その気配から口角がニュッと無気味に吊り上がったのが分かった。
「山崎ッ・・」
逃げろ、と続けようとしたときには、沖田の拳を鳩尾に受けた山崎が、吹き飛ばされるようにドッと背中から壁に激突していた。あっと思う間もなく、沖田は山崎の髪を掴むと、その顔面を己の膝に叩き付けるようにして膝蹴りを入れる。2、3回鈍い音がしたかと思うと、山崎は鼻血を吹きながらブチ倒れる。
「けっ、他愛もねぇ・・俺のバトルフェイズはまだ終わってねぇっていうのに。ああ、言っときやすけど、これ、さっきも言ったけど、正当防衛だから」
つまらなそうに呟くと、倒れて呻いている山崎の腹や胸を、さらに蹴りつける。
「総悟っ・・そいつぁ過剰防衛だ・・よせ、もう、やめてやれ」
「なに勘違いしてやがんでぃ。アンタには、口を挟む権利ありゃせんぜ」
沖田は腰帯に下げていた手錠を取り出し、山崎の腕を掴んで後ろ手に填めた。
「さて。せっかくギャラリーも来てくれたことだし、第2ラウンドといきやすか? 近藤さんもキャバクラ行ってて朝まで帰ってこねぇし。山崎ィ、しっかり見ておきなせえ」
そう言ってニヤッと笑うと、まだ起きあがれない土方の髪を掴んで、無理矢理に顔をあげさせた。首をねじって抗うのを押さえ付けると、身を屈めて口を吸う。
「・・ぷはっ・・・やっ・・総悟ッ、やめっ・・!」
「いい加減に観念しねぇと、また痛い目にあいやすぜ?」
「てめっ・・」
土方の拳が沖田の顔面目掛けて飛ぶが、さすがにもう威力がなく、あっさりとかわされてしまったうえに、その手首を掴まれる。
「へぇ、土方さンは、痛くされる方がお好みですかい。奇遇ですねぇ。俺ら、とことん相性が合うみてぇですぜ?」
土方の切れ長の瞳にキッと睨み返されて、沖田は堪らないと言いたげに喉を鳴らした。そうそう、その顔が一番キレイなんだ、アンタは。
興奮を抑えきれぬように、右手を振り上げて、頬を張る。乾いた音と共に、紅い唇の端から緋色の血が滲んで、白い肌を伝って滴った。
「・・ほら、こうすると、もっとキレイになりまさぁ」
うっとりと呟き、指先でその血を頬に伸ばす。確かに、白い肌と血の色のコントラストは、薄暗く彩度に乏しい月明かりの室内でも、そこだけが浮かび上がるような鮮やかさで映えていた。
「おぼえてろっ・・」
「覚えが悪いのはそちらでさぁ。アンタは何度、お仕置をされたら覚えるんでしょうね? 自分が誰のものかって」
クククッと沖田が喉で笑うと、細い指を土方の胸から腹へと滑らせる。
「まぁ、身体は覚えてるでしょうがね?」
一度開かされた身体は、本人の意志とは裏腹に、その動きに再びビクビクと反応し、萎えていたものも再び顔をもたげ始める。
「ほうら」
めざとくその変化に気付いた沖田が、自分よりもひと回り以上恰幅のいいはずの土方を背後から抱えて、膝を開かせた。
「見せておやんなせぇ。ご自分が誰に抱かれて、どれだけ喜んでるかをさぁ」
「やっ・・・やめっ・・・」
振り払いたくても、腕がすっかり力を失っていて、沖田が指を這わせて、露わになった部分をこれみよがしに弄ぶのを、止めることすらできない。
「さっきより反応がすげぇや。山崎に見られながらだと、そんなに興奮するんですかい?」
「違っ・・総悟、てめっ、調子にのってんじゃねぇぞっ」
こんな姿、見られたくない。
それは相手が山崎だからというより、相手が誰であっても、だ。こんな痴態を見せて興奮するような、特殊な性癖をもっているもつもりはない。変に反応しているのは、沖田が煽るせいだ、そうだ。そうに違いない。
「そんなことをおっしゃって。ノリノリなのは土方さんも、じゃねぇですか。ほれ、聞こえるでしょう?」
沖田の一見華奢な長い指が土方の中心をくじり、その指の動きに併せて、内側の粘膜が湿った音をたてる。耳を塞ぎたくなるほど、えげつなく大きな音に、土方はせめてもの抵抗のように、固く目を閉じて聞くまいとした。それでも、腰の奥で熱の塊が迸る先を求めて、微かに揺れているのが感じられる。
「イきそう? そんなに気持ちいいんですかい」
沖田がせせら笑うと、一度指を抜いた。
「そっ・・そう・・ごっ・・・」
「おやおや、おねだりですかい? かわいい部下の目の前でイきたい?」
腹腔を満たしていたものが急に失われた感触に喘いでいた土方だが、部下の目の前で、という言葉に一瞬だけ我に返る。ハッと目を開けると、倒れたままこちらに顔だけ向けている山崎と、モロに視線が絡み合った。
「ばか・・見るな、こんな・・・」
「ひじか・・たさ・・ン」
「やっ・・」
そして、土方が山崎を呼ぼうとした瞬間に、沖田が土方の髪の毛を掴んで、引き倒した。受身が取れず、土方はモロに頭を床にぶつける。
「ちっ、てめーら・・忌々しい。マジでくたばりやがれ」
圧倒的優位に立っているはずの沖田が、一番イラついている様子であった。やおら己の帯を解くと、帯止めにしていた組紐を手に取る。
「目の前でイかせてやろうと思ったけど・・やっぱ、やめやした」
「へっ・・?」
土方が呆然として抵抗できない隙に、その紐を土方のモノに巻きつけて、根元で強く縛り上げた。強烈な痛みに、土方が思わず咆哮にも似た悲鳴をあげる。
朱色の紐が食い込んだ肉が、血流を止められてみるみる膨れ上がり、どす黒い紫色に染まっていく。
「ボンレスハムの一丁あがり・・と言いたいところだけど、こいつぁ、あまり食欲をそそりそうにねぇな」
眉筋ひとつ動かさずに、沖田はけろりとそう言ってのけると、土方の尻を蹴り飛ばしてうつぶせに転がす。
「・・さて。土方さんばかりヨガらせてたんじゃ、割にあわねぇってもんだ。少しは、俺も楽しませてもらわねぇと」
唇の端を吊り上げて鮮やかにせせら笑い、畳に爪を立てながら苦痛に身をよじっている土方の尻の肉を掴み、無造作に押し拡げた。
「じゃあ、戴きまぁす」
まるでお菓子でも食べるような声で言うと、沖田は帯が解かれて脱げかけの袴から、脚を完全に抜いて白の肌着一枚を、ワイシャツのように上半身に引っ掛けただけの姿になり、そそりたつものを入口に押し当てた。
まるで別の生物のように、ぱくぱくと口を開けて蠢いていた部位は、宿主の意向に反して、まるで飢えていたかのように受け入れ、飲み込んでいく。さすがの沖田も、その圧迫感に圧倒されて、微かに甘い声を漏らした。
「すっげぇ・・イイ・・ったく、土方さんは素直じゃあねぇなぁ。あんたのカラダは、こんなに喜んでるのにさぁ」
そうひとりごちると、土方の汗ばんだ広い背中に倒れ込むように、身体を重ねて突き上げ始める。ただ、身長差があるから、沖田の顔は土方の肩のあたりまでしか届かない。それがもどかしいように、沖田は土方の白い肩に、血が滲むまで歯を立てた。
「こんなに深く番って、こんなに愛してんのに、アンタはどうして、よそに目がいくんでしょうねぇ? あんな犬っころ引っ張り込んで・・いや、あえて泥棒猫とでも呼んでやりやしょうか?」
沖田が突き上げるたびに、内側から射精欲が刺激されて、苦痛が増大しているようだ。土方は沖田の囁きなど耳に入らない様子で、ひたすら壊れたように喘ぎ続けている。
「いてぇ・・チクショウ、これ、外してくれ・・破裂しそうだ・・無理ッ・・もう・・頼むッ・・」
「おやおや、堪え性のねぇ。もう限界ですかい? だったら、ちゃんとお願いしてみなせぇ」
「てめぇ・・どこまで図に乗ってやがるっ・・外せと言ってんだよっ!」
「へーえ? もう少し、これを楽しみてぇですか。土方さんも大概、趣味のいいこってぇ」
片手を土方の腰にまわし、縛り上げられたものを力任せにギュッと握る。すっかり血の気の失せたそこは、冷たく感じられるほどだった。
「あーあ・・そろそろ、素直になんねぇと、壊死して腐れ落ちやすぜ。まぁ、こっちの穴がありゃあ、土方さん的には、オッケーなんですかね?」
さすがに「壊死」という単語には、土方の呻き声もピタッとやんでしまう。そこを失ってしまうという恐怖が、局部の激痛をも上回ったらしい。
「それは・・いやだ・・」
「じゃあ、ちゃんとお願いしてごらんなせぇ」
「くそっ・・・これを・・この紐を外し・・て・・ください」
「もう一声」
「もう一声?・・なんて・・言えっていうんだ」
「・・ねぇ、土方さん? 俺だって、アンタが憎くてこんなことをしてるんじゃありませんぜ。アンタが悪いんですぜ? 俺の目を盗んでコソコソなんかしてるから。俺ァ、土方さんのことが好きなんだ。殺して俺だけのものにしておきたくなるぐれぇに、ね。だから・・」
肩の咬み傷に舌を這わせながら、沖田が熱い吐息と共に、囁く。
・・ウソでもいいから、俺のことを愛してると言ってみてくだせぇ。
「わ・・わかった。あいしてる・・総悟・・」
沖田がククッと喉を鳴らす。それは嗚咽のようにも、笑い声のようにも聞こえた。
「ひじっ・・かたさっ・・ンッ・・」
沖田はそこで、果てたらしい。しばしの間・・いや、それともほんの数拍の出来事だったのか・・沖田が土方の肩甲骨のあたりに額をぺたりと押し付けるようにして、肩を震わせていた。
「ふふっ・・よく出来ました。おい、今の聞こえたか、泥棒猫」
やがて、一転して明るい声を出すと、沖田は腰を引いた。どろりと、溢れた粘液が畳にまで垂れるのにも構わず、土方のモノに手を伸ばす。
「・・ち。食い込んでやがる。そんなにヨかったのかね。仕方ねぇ、切るか」
一度身体を離すと、膝でいざりながら脱ぎ捨てた己の着物に手を伸ばして、中を探る。
「この紐、気に入ってたのに勿体ねぇ。あいつぁ、結構凝った編み方でやしてね。まぁ、その感触が堪らなかったのかもしれねぇが」
ぶつぶつ言いながら、小太刀を取り出して、鞘を払った。
戻って、まるで魚でも捌くような手つきで刃を閃かせる。はらりと切り落とされた紐が落ち、突然の解放に土方は己のものを両手で握ると、背を丸めた。
「うぐぁああああぁっ!」
堪えに堪えさせられていたものが迸る。
射精の絶頂感と、血流がドッと戻る熱と、塞き止められていたことによる痺れと、紐が食い込んでいた痛みと・・それらがない混ぜになって、意識が飛びそうになる。
「ふ・・副長ッ・・!」
目の前の凄惨な光景に唖然と声を失くしていた山崎が、我に返って声を絞る。その声に、土方は辛うじて意識を繋ぎとめた。
「あ、そうそう。土方さん。念のためにいっときやすけどね」
袴を履き、山崎が来る前に脱ぎ散らかしていた白足袋を拾い上げながら、沖田が思い出したように言う。
「こいつね、アンタのこと心配してるよーな顔してますけどね。そのくせ、ここはしっかりとオッ立ててやがりますから、ダマされてホダされねーように、くれぐれも気をつけてくだせぇね」
そう言うや、山崎の股間に無造作に足投げ入れる。足の裏で、スラックスの下で突っ張っているモノの熱を感じると、犬の糞でも踏んだような顔をしながらも、そのままぐりぐりと踏みにじった。
「なぁ、てめーもヤりたかったんだろ。土方さんのケツに、コレをツッコみたかったんだろ。下衆が」
「ぐあっ・・やっ・・このっ・・」
「なーんか、硬くなってくような気がするんだけど。もしかして踏まれて感じてる? まぁ、あんな光景を見て抜けないのも生殺しだから、手伝ってやりまさぁ」
「やめっ・・そんなん・・」
「・・総悟、やめてやれ」
「だから、土方さん、アンタは口出すなっ!」
今にも泣き出しそうな声をあげたのは、沖田だった。
「あんたは、どうして、いつもいつもいつもそうやってっ・・!」
悔し紛れに、足に力が入る。
山崎は、身をよじってその足から逃れようともがいていたが、不意にビクッと震えると小さく悲鳴をあげた。
「ふん、これに懲りたら、土方さんのまわりチョロチョロすんの、やめやがれ。パシリはパシリらしく、素直にコキ使われるだけにしておきゃあ、こんな目にもあわねぇってもんでイ」
足を引いて、今度はその爪先で山崎の顎をあげさせる。だが、そこで睨み返された目つきが気に食わなかったらしい。ケッと喉を鳴らすと、顔面を蹴りあげた。そして、むんずと髪の毛を掴むと、ずるずると縁側まで引きずり出す。
「原田さん、いるんだろ。コイツを大部屋に連れてけえってくだせぇ」
本当に居るのかどうかは、分からない。そんな気配を感じることもできないぐらい、神経がささくれだっている。
だが、どうせ居るだろうと勝手に決めつけると、憎々しげにそう言い放って、後ろ手錠のままの山崎の身体を転がした。そこで張り詰めていた糸が切れたのか、沖田は魂が抜けたような表情になり、土方の居る室内にほてほてと戻るや、後ろ手に障子を閉める。
「土方さん・・怒ってる?」
「たりめーだろ」
土方は、その頃にはなんとか上体を起こすと、黒の単衣を肩に羽織っただけの姿で、紙巻き煙草の箱を弄んでいた。
先程の揉み合いで、中の煙草はぐしゃぐしゃになっている。どうにか1本、よれながらも吸えそうなのを見つけると、それを唇に挟んだ。顔面も何回かモロに殴られているので、口の中が何カ所も切れていて血でべと付く上に、水分に乏しい唇の皮に、煙草のフィルターがくっつこうとして気持ち悪い。ライターは見当たらなかった。
「そうでござんしょうね。でも、俺ァ・・」
沖田が、土方の側に膝をつき、両腕を差しのべてその胸にスッと寄り添おうとしたが、土方は沖田の額に掌を当てるようにして、それを押しとどめた。
「てめぇは自分の部屋に帰って寝ろ」
「山崎のヤローとは、一緒に寝てたんでしょう?」
「自分の部屋に帰って寝ろ」
沖田は諦めたようにため息をつくと、立ち上がって部屋から出ようとした。
ふと立ち止まって振り向くと、土方がギョッとしたのに気付いたのか、気付かなかったのか・・たもとに転がり落ちていたらしい土方のライターを取り出して、放ってよこす。
「おやすみなせぇ・・なぁ、なんでアンタのこととなると、俺ァ、つい、頭に血ィのぼっちまうんだろうな」
「知らねーよ」
吐き棄てられて、沖田は、まるで愛の告白でも聞いたかのような笑みをフッと鮮やかに浮かべてみせてから、出ていった。
昨日の今日では、とても副長に会わせる顔がない・・・と思っていたのに、朝一番で内線電話で呼び出された。
「大部屋では、ちゃんと寝れたのか?」
やはり土方も気まずいのか、視線は微妙にずらされている。
「はぁ・・手錠が外れずにちょいとした騒ぎになりましたがね。結局、篠原が戻ってきたんで、あいつにピッキングさせやして、眠ったのは結局、相当遅くなりましたが・・バテてたんで、眠るのはストンと」
「そうか・・まぁ、そんなんで、俺のツラなんざ当分見たくねぇだろうが、おめぇにしか頼めないことがあってよ」
「いえ、俺、副長のためでしたら、何でも・・で、この部屋の掃除・・・ですか?」
昨日の暴行の痕跡は、土方の顔面の痣だけでなく、畳の上の血痕や何の汁か分からない染みなどに、クッキリ残っている。知らない者が見れば、殺人か集団レイプの現場と間違うかもしれない荒れようだ。
「掃除は吉村あたりにさせる。つか、その前に煙草とファブリーズと・・その、アレだ。クッション買ってきてくれ」
ファブリーズは、この部屋に溜まったすえた匂いを取りたいせいだろうが、クッションは一体なぜだろうと、山崎が一瞬、キョトンとする。
「昨日、沖田が無茶しやがったせいで、前は腫れ上がるわ、後ろは痛いわで、まともに座れねぇんだよ。あるだろ、あれ、輪ッかになったヤツ」
「・・ああ、痔持ちが使うような、ドーナツ形したクッションか」
確かにそれは、あまり人には知られたくない買い物だろう。いつものように、土方の財布を預かって、懐に押し込む。
「総悟には、くれぐれも見付からねぇようにな」
「承知しやした」
「今日の調査は、篠原に引き続きさせておけ。お前は・・買い出しから戻ったら、今日は休め」
「へい」
「それと・・昨日は巻き込んで済まなかった」
土方がポツリと言った。山崎は制服の上から、財布の辺りを押さえてその質量を土方自身のように感じながら「いいえ」と答える。
「そもそも、俺が副長の部屋に居着いたから、いけなかったんで」
沖田の存在を知りながら。
ただ、側で休ませてくれるだけでいいと、甘えていた。
そして、その甘えを受け止めてくれたことで、余計なことを期待してしまっていたのかもしれない。
「パシリはパシリらしく、おとなしくコキ使われておきますよ。それだけでも、俺、幸せっすから」
「けっ、バカザキが」
その「けっ」に、いつもの調子が戻っていることを感じて、山崎は俯いた。顔をあげていると、涙がこぼれそうで。
それでも。あんなことがあっても。
ご自分が、沖田さんの呪縛から逃れられないということを知りながらも、俺があなたに思いを寄せる続けることだけは、まだ、今まで通りに許してくれているんですよね、それは。それにどうやって報いていいのかは、分からないけれど。
「いつか・・副長の身に何かあったら、今度こそ、命張ってでもアンタを護りますから」
「眠てぇこと言ってんじゃねぇよ。そんなタワゴト言ってると犬死にするぞ」
「俺、結構本気なんですがね? じゃあ、行ってきます」
「おう」
外に出れば、昨夜の出来事が嘘のように爽やかな天気だった。空がやけに高く感じた。
(了)
【後書き】久々に書き上げたのが、こんなんでゴメンナサイ。やっぱり鬼畜モノは苦手です。プレイについてアドバイスくれた北宮さん、ありがとうございます。全然、助言を生かせませんでしたけど!(爆)
ちなみに、沖田がさりげなく遊戯王パロディな台詞を吐いているのは、沖田のターンがずっと続いているからです。そして、身内先行公開で「これ、沖田に同情票がかなり行くのでは」と指摘された・・反論できない。
さぁて・・次は蟷螂の恋、仕上げるか。というか、あっちを仕上げないと分からないMY設定多いぞ、この作品(マテ)。
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