Piccolo uccello che l'invidia
あっと思う間も無かった。
雲雀の白く細い・・しかし、その儚い見た目を裏切って、しばしば相手を完膚なきまでに叩きのめす、破壊力を秘めた手が丸椅子を掴んだと思うや、こちらめがけて飛んできた。かろうじて避けたら、続いて提げていた鞄。珍しく辞書が入っていたらしく、鞄はえらく派手な音を立てて、簡易ベッドを囲む白いついたてを打ち倒した。
「よせよせ。一応校内なんだから、備品は壊すなと・・」
説得も甲斐なく、倒れたついたては窓を突き破る。2個目の丸椅子は机の上に飛び込み、ファイルの山とペン立てと、飲みかけのコーヒーを床にぶちまける。
「おいこら!」
やむなく実力行使で停めるべく、押さえ込もうと手を伸ばすと、その手を叩くように払われた。
「なに?なんなの、なんですねてんの?オジサンに言ってよ」
「・・別に」
「別にって・・これが別にって状況かよ?」
「帰る」
「・・おーい」
引き留める間もなく、雲雀の痩身は、するりと逃げ出してしまった。
なに? なんな訳? オジサンがなんかワルイことした? 今日は女子生徒をかまってないし、妙齢のレディを口説いたりもしてない・・というか。俺がいくら女といちゃつこうが、こっちが「少しは妬いてよ」って思うぐらい、いつも平気な顔してるし・・やれやれと、頭をかいて片付けを始める。
ふと、床に散らばった筆記用具に紛れて、シルバーリングがあるのに気付いた。ああ、確か隼人がこないだ忘れてったやつ・・まさか。
「まさか・・な」
【後書き】いや、そのまさかって設定で。
隼人は逆に、女には妬いて、ヒバリには勝ってると思ってる。その自信が揺らぐ話ってのもいいな〜あれ、山本は? バイオレンスヒバリは、紺ちゃんへ。
なお、タイトルのイタリア語は自動翻訳任せなので、適当です(あははっ、捕まえてごらんなさーい♪)。一応、英語は「Small bird that envies
it」→嫉妬する小鳥。 |