風 邪 薬


「っ…くしょん」
「どうしました?」
深夜、誰も居なくなった捜査本部とは名ばかりのホテルの一室。
珍しい竜崎と二人きりな俺は少しだけ鼓動が早くなっていた。
目の下の隈や奇怪とも言える行動が、俺になんとも言えない恐怖感を与える。
竜崎って…本当に人間なんですかね?
なんて失礼な事を考えていると、竜崎が嚔をした。
「風邪ですか?」
「いえ、誰かが噂でもしてるんですかね?」
微妙に当たっている竜崎の言葉に心臓が跳ね上がった。
ともあれ、捜査の要である竜崎に風邪を引かれては困る。
俺はソファにあった毛布を拾い上げると、相変わらず変な座り方をしている竜崎の肩に掛けてやった。
「…………ありがとうございます、松井さん」
「どう致しまして」
「……………………」
俺が退室するべくドアノブに手を掛けると、じぃーっと此方を見つめる竜崎の真っ黒な瞳と目があった。
「……な、なんです?」
「………松井さん…私の事…好きですか?」
突然何を言い出すのかと思えば、そんなこと。
俺は竜崎に向き直ると、しっかりと目を見つめた。
「好きですよ」
それだけを言い、俺は部屋を出た。
「………ワタリ」
「なんでしょう竜崎」
「松井さんに告白されてしまいました」



END

【後書き】デスノのLが好き、松L萌え〜と騒いでいたら、憐れんで書いてくれました。
別に私に・・・と指名してくれたわけでもないのですが、サイト引っ越しに伴って消されるかも・・というので、それはもったいないと、おねだりして強奪(笑)。
当サイト初出:07年06月01日
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